ちょっと前の話ですが、「攻殻機動隊新劇場版」を観ました。
結果だけ言うと、あんま面白くなかったです。心が震えるようなシーンは無かったです。
原点ってことのようだけど、TVシリーズと矛盾しちゃってるところはパラレルだとしてもやっぱり違和感あるし、僕のイメージだと草薙素子は「お前たちは私の見つけた最高のパーツだ」なんて言わないんですよ。「そう囁くのよ。私のゴーストが」みたいな名セリフを狙ったのだろうけど、残念でした。
僕が初めて攻殻機動隊を観たのは、多分、大学を卒業してプラプラしていた時だったと思います。バイトの休みの日にぶっ通しで観た記憶があります。
当時はインターネットがやっと常時接続できるようになったタイミング。その時に観た攻殻機動隊のインパクトはものすごく、ネットに広がる未来を思い自分を律したものでした。
ネットだけではありません。義体化、光学迷彩、マイクロマシン。今のSFでは当たり前になっているこうした考え方にも攻殻機動隊が与えた影響は大きかったと思います。
映画「MATRIX」なんてパクってるシーンだらけだし。
期待も大きかったかもしれません。冲方丁さんは僕の好きな作家です。「天地明察」「光圀伝」「マルドゥックスクランブル」。その人がどんな攻殻機動隊を生み出すのか?
まあ、結果は残念でしたが。
新しい「何か」が出てこなかったのも期待はずれだった理由の1つかもしれません。
僕が観たかったのは「先の話」で「前の話」じゃなかったんだと思います。どうやって9課が結成されたのではなく、テレビや映画で描かれた世界のその後、「ネット」はどうなるのか、「ゴースト」はどう定義されていくのか、そういう話を冲方丁さんが自由に書いたら、新しい攻殻機動隊が生まれたのではないでしょうか。
「マルドゥックスクランブル」を書ける冲方丁さんならできたと思うんだけどなー。
新しい草薙素子のゴーストが何を囁くのかは次回に持ち越しです。次は30周年かな。