インターネットによって紐づく情報
きっかけは9.11です。最大最悪のテロ事件です。同じような惨事が起きないために情報を収集しなければならないというのはわかります。でも、それが国民を監視し、情報を収集し、盗聴するということになるのはどうなんだろう?それが嫌ならどこで線引をすればいいのだろう?ということを考えさせられます。
インターネットは人類にとってものすごい発明だったのは否定できません。しかし、インターネットによってあらゆる情報を紐付けることが可能になりました。映画の中でも、「クレジットカードとメトロカードと携帯電話でその人の人生がわかってしまう」というような発言があります。どこで何を買い、誰と話したかっていうことがわかれば、全部わかっちゃいますよね。
ただし、「そういう情報はデータとしては正しいが真実かどうかはわからない」という話も興味深かったです。知らないところで情報が収集され、何かが原因でそれが真実でなかったとしたら、修正されることがないまま監視の対象になり得るというわけです。
流石にちょっと怖いですよね。
エドワード・スノーデン本人が登場している
ドキュメンタリー映画なので当然なのですが、エドワード・スノーデン本人が登場しています。仮病を使って休暇を取り、ハワイのNASから香港へ渡り、ジャーナリストのグレン・グリーンウォルトに会い取材に応じているのです。
本人から、NASが何を行っているのかの詳細が語られるシーンは驚きです。
マジっすか?って感じです。
NASがあらゆる情報を収集していることがわかります。後にドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していることが明るみになっていますが、そう考えると、日本だって同然盗聴されているはずです。実際に、日本のメディアとの取材の中で、エドワード・スノーデン氏は首相や各省庁やある企業は頭頂の対象になっていたと話しています。
ドイツのように講義することは日本はしなかったのは全く意味がわかりませんが、アメリカはそこまでやっているということがよくわかりました。
エドワード・スノーデン氏のリークについてはニュースで知っていましたが、あまりピンと来ませんでした。ちょっと規模が大きすぎて、半信半疑だったというか、他人事に感じられたのですが、この映画を見てみたら、誰もが情報を取られている可能性があるし、監視されている可能性があるんだということがわかりました。
システムが情報を集め、アーカイブし、必要な時に引き出す
すげー単純なシステムです。お金をかければできますよね。実際にやるところがさすがアメリカです。
秘密裏にインターネット企業が協力していたというのも問題です。マイクロソフト、Yahoo!、Google、Facebook、PalTalk、YouTube、Skype、AOL、アップルなどがNASに情報を提供するためのバックドアを用意したりしていたとされています。利用者のプライバシーが筒抜けだったわけです。
監視は自由を奪うのか?自由を守るのか?
映画はNASを悪者として扱っていきます。ただ、NASのこうした監視活動の出発点は9.11のテロです。あの大惨事を防げなかったことが出発点です。もう二度とテロを起こさせないための情報収集であるわけです。だとすると、完全に否定もできない気がしてしまいます。国民が安全に自由に暮らせるための監視ってことでもわけですから。
ただ、全てが秘密裏であり、情報収集の範囲がとてつもなく広いことには反感を覚えずにはいられません。
第二、第三のスノーデンが登場する
エドワード・スノーデン氏は結局ロシアに亡命し、1年間の滞在が認められたようです。そして、お付き合いしていた女性も越してきて一緒に生活しているようです。
最後のシーンではエドワード・スノーデン氏とグレン・グリーンウォルト氏が話をしているのですが、そこでは、ドイツのメルケル首相が盗聴されていることや、アメリカのドローン兵器がドイツを拠点としていること、NASではなく、大統領の命令で事が進んでいたことなどが暗示されます。
リークが続いているわけですね。自分に何かあっても第二、第三の僕が現れるとエドワード・スノーデン氏は言っていましたが、現実にそうなっているようです。
スノーデン氏の目の下にとてつもないクマがでているのに驚きました。身の危険など感じることもあったのでしょうか?いつか落ち着いた生活ができるのでしょうか?彼の正義はとてつもないものですが、払った代償も大きかったのかもしれないと思いました。